2015年1月17日土曜日

渥美清主演『拝啓天皇陛下様』を観る。

1963年公開の松竹映画『拝啓天皇陛下様』をみました。


主役の天涯孤独の山田正助(ヤマショウ)役に
渥美清さん、同期入隊となる後の従軍記者で小説の
原作者棟田博さんを演ずる棟本博(ムネさん)役の長門裕之さん
他にも桂小金治さん、藤山寛美さん、西村晃さん、人情味のある中隊長役に
加藤嘉さんなど味のある役者さんが多数出演しています。


舞台は昭和6年 開戦前の岡山陸軍訓練所に新規入隊する
ヤマショウ、ムネさんらのシーンからはじまります。
軍隊訓練所の生活や先輩入隊者との関わりなど
コメディタッチでありながらも、その厳しさ理不尽さを
描いていました。


また、厳しい訓練の息抜きとして花街へ嬉々として
繰り出す様子などは当時の世俗がわかり、興味深く
ありました。


訓練に天皇陛下が視察に訪れる場面は、当時の庶民が
天皇陛下に如何に畏敬の念を持っていたかを象徴的に
描いていると感じました。


2年目になると先輩風をふかして、かつて自分たちがされてきた
ように新規入隊者を教育?する場面は現代の体育会系運動部に
脈々といきつづけている悪しき伝統と思います。


2幕目は、支那事変後に再び召集され中国戦線で
戦うヤマショウらが描かれています。
また3幕では戦後の様子も描かれ、朝鮮人に先導され
連れ立って買出しに行く婦人達や夫が戦死した未亡人
など混乱の中でも力強く生き抜く人々には希望を感じました。
それにしても左幸子さんはとても綺麗な方ですね。


全体を通して戦争というものに普通の人がどのように
関わっていったのかを、批判や悲惨さだけでなく、当時の世俗や
日常をコミカルなのだけれど軽すぎるわけでもない
絶妙なバランス感覚で表現している名作だと思いました。



続編もあるようなので是非みたいと思います。
ありがとうございました。

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