2015年1月24日土曜日

『終戦のエンペラー』を観る。

1977年のマッカーサーに続いて2012年アメリカ製作の
終戦直後の天皇陛下の戦争責任を巡ってのストーリーである
『終戦のエンペラー』を観ました。


プロデューサーの一人が奈良橋陽子さんで、自身の祖父
関谷貞三郎氏も関わる天皇陛下の戦争責任訴追回避に至る
経緯をアメリカ側のみ史観に偏るわけでなく描かれています。


B29爆撃機が広島に原爆投下する場面から始まり
厚木飛行場にマッカーサーが降り立つ様子も描かれます。
あの有名なシーンもアメリカ側の巧妙な情報戦略なのだと
よくわかります。


GHQの本部にされた第一生命館に至るまでの
徹底的に焦土化された焼け野原の映像には
カラーで映し出されると、現実の出来事だったのだと
再認識させられます。


主人公であるマシュー・フォックス演じるボナー・フェラーズは
かなり美化されて天皇陛下を護った英雄のように描かれていますが
対日情報戦略の専門家だったようで、調べてみると様々な賛否があるようです。

日本の戦争責任者をホワイトボードに貼って訴追の準備を
推し進める様子はイラク戦争で戦争責任者をトランプのカード
に見たてて懸賞金を掛け指名手配したときと同じく
アメリカはやっていることが変わっていないのだとよくわかります。


中村雅俊演じる近衛文麿に東京空襲や広島、長崎の人道的問題に
言及させるなど、アメリカに一石を投じているのは良かったです。

この映画はアメリカであまりヒットしなかった要因も
アメリカは世界で正義のヒーローだと信じ込まされているため
居心地が悪いのかもしれません。

この映画では、マッカーサー(トミー・リー・ジョーンズ)は
脇役なのですが、独裁者的に描かれているのもアメリカ人には
受け入れ難いのかも…


西田敏行や伊武雅刀、桃井かおりも渋い演技で良かったです。
ヒロインのあや役の初音映莉子は知らなかったのですが
栗山千明さんっぽくて綺麗ですね。あっちの人はそういう顔立ちの
日本人がいいのかな。


しかし、戦後史の重要な役割を担い映画にもなった人物が
Wikipedia(日本版)にも載っていない('15/01/24時点)とは…
これも菊タブーというものなのか?


いずれにしても、なかなか興味深い映画だった。

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